2009.05.01.Fri / 18:52 
さて、もう完全に不定期掲載になってしまったゲンさん(『解体屋(こわしや)ゲン』)感想ですが、久々に発売日当日のアップでお目に掛かります(これまでのエピソードについては、調子が完全に戻って来てから、何らかの形で発表出来るように考えています)。

それでは、久し振りに「▽Open more.」を開いて下さい(下のアドエス写真は、一か月前の掲載誌の表紙に登場したキャッチャー姿のゲンさんのイラストを写したものですが、何と今回のゲンさんは、初めて野球にチャレンジするそうです。)。

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『解体屋ゲン』
第324話「はじめての野球」
(ストーリー)

ここはある野球場。
現在、「北口スターズ」「ミックスベジタブルズ」というチームの試合が行われている最中だが、五回裏の攻撃で「ミックスベジタブルズ」のメンバーとしてバッターボックスに立っているのは何とゲンさんだ。
プレイヤーズベンチでは、「ミックスベジタブルズ」のメンバー達とヒデが、ゲンさんに当たりが出るように祈っているが、気合いを込めてバットを振ったゲンさんは、相手ピッチャーのチェンジアップに翻弄されてタイミングを外し、空振りと共に尻餅をつく。
自分をバカにしたような態度を見せる相手ピッチャーに怒るゲンさんを見ながら、「ミックスベジタブルズ」のメンバー達は呆れたように溜息をつき、ヒデは相手ピッチャーがこんなに投球の緩急が上手だと思わなかったと不安げな顔をする。

さて、何故ゲンさんとヒデがここで野球をしているのかというと、それは二週間前にさかのぼる。
「ミックスベジタブルズ」のメンバーである商店街の店主達は、商店の数が減ったせいでメンバーが足りなくなった為、助っ人としてゲンさんとヒデをチームに入れようと声を掛けたのだが、何とゲンさんは野球を一度もした事がなかったのだ。
ゲンさんは、いかにも野球が好きそうに見えるのに未経験者なのか、全く期待外れだという店主達に、俺は集団行動とか規則が大嫌いなんだ、お前等がどうしてもというから仕方なく来てやったんだろうがと言って怒って帰ろうとするが、どうしても次の試合だけは負けられないという店主達に引き止められる。

店主達が意気込むのも当然で、対戦チームの「北口スターズ」のメンバーは、駅前再開発で区議を買収して駐輪場の誘致をもぎ取っただけでなく(その辺の背景については第317・318話、そして第257~259話を参照のこと)、その開発公社の担当者をピッチャーに擁しているそうだ。
だが、「北口スターズ」のメンバーが平均年齢も若く実業団野球の経験者もいると聴いたゲンさんは、どう考えても勝てる訳がないという意味の事を言う。

一方ヒデは、メンバーの一人のノックを軽々とキャッチすると素早く返球し、それを見たゲンさんは、まさかヒデがあんなに野球が上手いと思わなかったと感心している。
ゲンさんは知らなかったようだが、ヒデはリトルリーグで活躍していたらしく、それを聴いたメンバーの一人は、期待外れのゲンさんと違ってヒデはいい意味で予想外だという意味の事を言ってゲンさんを怒らせる。
そして「ミックスベジタブルズ」のメンバーは、俺はそんなに暇じゃないというゲンさんに、試合まで二週間あるから練習しておいてくれと言い残し、素早く逃げ帰る。

それから、仕方なくゲンさんは野球の練習の為にバッティングセンターへ行き、ヒデのアドバイスによって、バットではなく仕事で持ち慣れているスコップを手にしてバッティング練習を始める。
ヒデが見守る中スコップでボールを打ち返しているゲンさんは、ついに見事なスイングでホームラン級の当たりを出し、ヒデを驚かせる。

そして試合当日に戻るが、イニングは七回表に進み、外野の守備に就いているゲンさんは、外野へと抜けた相手の打球をキャッチすると、ヒデの「ゲンさん バックホーム!」の掛け声を切っ掛けに、ホームにいるキャッチャーに向かって渾身の投球を放つが、大暴投してしまった為に相手チームの打者は悠々とホームインし、それを見た「北口スターズ」のメンバーは、いくら球が速くてもノーコンじゃ意味がないとばかりにゲンさんを馬鹿にしたように爆笑する。

七回裏、「ミックスベジタブルズ」の攻撃に入ったが、冷静に2アウト・ランナー二塁というスコアと点差を頭の中で反芻しているヒデは、ピッチャーの意表を突いて見事にバントを決め、相手の野手がエラーをした事も手伝い二塁にいた走者が生還し、試合は4対2から4対3の1点差になった。
そして「よしっ 後は頼んだよ」とヒデが心の中で逆転の一発を期待しているバッターは、勿論ゲンさんだ。

木製の長尺バットを手にバッターボックスに立つゲンさんを見て、「北口スターズ」のピッチャーはメジャーリーガー気取りかと腹を立てているが、これはヒデの計略だった。
バッティングセンターでの練習で何かを感じ取ったヒデは、最後の打席に立つゲンさんに、34インチの素振り用のバットと、野球用ではなく普段の現場で使っているゴム引き手袋を手渡し、ゲンさんは練習通りにしていればいいとアドバイスする。
そしてヒデは、相変わらず変化球でゲンさんを翻弄しようとする相手ピッチャーに、結局ゲンさんが怖いんじゃないか、悔しかったら直球勝負してみろと挑発する。

心を乱された相手ピッチャーの様子を見たヒデは、ゲンさんはピッチングマシンでしか練習していないからタイミングを外されると手も足も出ないが、直球勝負なら何とかなるだろうと考えているようだ。
そのヒデの読みは当たり、直球勝負に出たピッチャーのストレートを打とうとするゲンさんのバットは見事にボールの芯をとらえ、快音と共に打球はセンターを越えて場外へと飛んで行った。

一発逆転ホームランを放ったゲンさんに、「ミックスベジタブルズ」のメンバーは喜びに沸き立ち、ゲンさんは、ショックを受けている「北口スターズ」のピッチャーを尻目に「野球もなかなか楽しいじゃねえか!」とホームインする。

だがゲンさんは、勝利を喜ぶ「ミックスベジタブルズ」のメンバー達に遠慮会釈なく体中をはたかれたり蹴られたりした為、「痛えじゃねえか この野郎!」と腹を立て、「ゲンが切れやがった」「なんて大人げない野郎なんだ!」と慌てて逃げる「ミックスベジタブルズ」のメンバー達を鬼のような顔で追い廻す。



(感想)
今回はまるで、一か月前のこの記事「考えたのだが、これからも商店街との交流が描かれるとしたら、物語の本筋からは外れるけど息抜き的なエピソードとして、商店街の草野球チームにゲンさん達が助っ人を頼まれるというような話を書いてくれないかなあ」と書いたのをシナリオの星野茂樹先生が聞いてくれたかのようなストーリーの(漫画のシナリオやネームは大抵早い時期に上がっているというから、当然単なる偶然ですけどね)、ゲンさんの初めての野球挑戦エピソードです。

残念ながら、上の文章の続きに書いた「勿論ゲンさんがキャッチャーで」という部分までは一致しませんでしたが(そりゃあいくらゲンさんがキャッチャー向きの体格だからって、素人をキャッチャーに抜擢する訳ないですね……)、それでも夢が殆ど叶った事には変わりなく、しかも久し振りに肩の力を抜いて楽しめるエピソードだったので大満足です。

今シーズンは、ドラゴンズが不調のせいもあってプロ野球には全く興味がなくなりましたが(なるべく今シーズンは野球のニュースに触れないようにしていたが、ついにこの記事を書く前に新聞のスポーツ面を見てしまい、ドラゴンズが現在5位と知ってショックを受けた。本当に今年のドラゴンズは、裏切り者の選手が何人か抜けただけでこんなにチームが弱体化するものなのかと哀しくなった。もしこれで落合監督が全責任を取らされるような事があったら、もうプロ野球に希望なんて持ちたくない……って悲観的過ぎですね。反省)、今日はそんな憂さを晴らすかのように(って自分だけですが)、野球で活躍しているゲンさんを心ゆくまで楽しみました。

それに、この前のキャッチャーゲンさんを見た時にも感じたけど、年中黒のランニングシャツとニッカズボンそしてヘルメットと地下足袋姿のゲンさんの、今回の野球のユニフォーム姿は本当に新鮮で(今回、回想シーンで上半身だけいつものランニングシャツだった他は全てユニフォーム姿で、驚いた事に回想シーンでも地下足袋は一度も履いていないし、作業用のヘルメットも一度も被っていない)、ストーリーも楽しかったけど、今回はそれ以上にゲンさんにキャラ萌えさせていただきました!


……と、ここまで書いてストーリーに触れていない事に気付いたので、ここからはストーリーについて書く事にしましょうか。

昨年の暮れの第307話「不景気の処方箋」から、第315~319話「商店街の改革」、そして第320話「受け継がれるもの」と、これまでは五友爆破の業種が特殊だったせいか交流のなかった商店街との交流が描かれていますが、今回も基本的にはその流れを汲むもので、それまでの空白を取り戻すかのように、ゲンさんは商店街(の店主達による野球チーム)の為に一肌脱いでいます(いや、正確には彼等に押し切られたと言うべきかな)。

ゲンさん達のお陰で商店街復興の兆しは見えたけれども商店の経営が苦しい事には変わりない上に、今回の野球の対戦チームがこの商店街にとっての因縁の相手だという事もあり(まだ関連エピソードの感想記事やストーリー紹介を書いてないので説明すると、「ミックスベジタブルズ」のメンバー達の住んでいる「さくら商店街」がゲンさんと秀美の協力によって復興しようとした矢先に、駅前再開発の一環として駐輪場が「さくら商店街」と逆の位置にある駅の北口に集約される事が決定した為、彼等は一時苦境に追い込まれたのだが、その原因を作ったのが対戦チーム「北口スターズ」のメンバー達なのだ)、すっかりゲンさんを頼りにしている商店主達がまたゲンさんにピンチを救って貰おうとするのは当然の事でしょうね。

それにしても、第315話「商店街の改革(一)」の冒頭の時もそうだったけど(この時は、作業している現場まで押し掛けて行ってゲンさんに商店街復興の知恵を借りようとしていたが、「ゲンさんならタダでやってくれるし」とか「ついでにちょっと店きれいにしてもらったりして」とか「最近 雨戸のたてつけが悪いんだ」とか言ってゲンさんを激怒させてたな)、今回も商店街の店主達はゲンさんに対して調子がいいですね(今回は、自分達が無理にゲンさんに野球チームに入るよう頼んだ癖に、ゲンさんが野球の経験がないと知るや「まったく期待外れだよな」と言ったり、リトルリーグ経験者であるヒデの活躍を見て「誰かさんと違って こっちはいい意味で予想外だなぁ」なんて言うんだもん)。

でも、お調子者だけど根はいい人達ばかりだと思うので(第318話「商店街の改革(四)」で、駐輪場の駅北口への集約が決定した事を知ったあと、これ以上迷惑は掛けられないから自分達で何とかしようと、今までのお礼を言いにゲンさんに会いに来るくだりは何度読み直しても泣かされる)、ゲンさんには、これからも商店街の為に色々と頑張って欲しいと思います。


それともう一つ、今回はヒデの驚くべき秘密が明らかになりましたが、まさかヒデがリトルリーグで活躍していたとは思いませんでした(もう一人の自分が「ちょっと今回のエピソードに合わせた後付設定っぽいな」と意地の悪い事を囁いているが無視しよう)。

まあ考えてみれば、ヒデは運動神経もそれほど悪くなかったから(クレーンの技量は天才的だし、泳ぎもカナヅチのゲンさんよりは上手いし……って犬かき程度だけど)、意外性は感じたけど、それほど驚く事じゃないかもしれませんね。

それにしても、野球の経験がないゲンさんがボールに慣れるようにバットの代わりにスコップを使って打撃練習したり、試合中のゲンさんのコンディションを見抜いて素振り用の長尺のバットと手に馴染んだ作業用手袋を持たせて「ゲンさんはバッティングセンターの練習通りに打てばいいんだ」とアドバイスしたり、変化球ばかり投げている相手ピッチャーに「なんだ最後までノラクラボールかよ 結局ゲンさんが怖いんじゃんか!」「悔しかったら直球勝負してみろよ!」と挑発したりと、今回のヒデは大活躍でしたね。

そんな訳で、今回の野球の試合は、ゲンさんとヒデの活躍によって「さくら商店街」商店主達の「ミックスベジタブルズ」が因縁の相手である「北口スターズ」を破って終わりましたが、これからも時々、今回のような仕事を離れた胸のすくエピソードを読みたいと思っています。


それでは最後になりますが、二つほど気になった事を。

まずは、今回ゲンさんは、(いかにも好きそうに見えるのに)野球の経験がないのかと「ミックスベジタブルズ」メンバーの商店主達に言われて、「うるせえな! オレは集団行動とか規則とかが大嫌えなんだよ!」と言っていたけど、「(過去に書かれた第76話「最強のパネリスト」第220話「鉄板泥棒」の記述から推測すると)ゲンさんはアメフト経験者の筈なのに、そんな性格で野球以上にチームワークやルールが重要視されそうなアメフトをよくやっていたなあ」と思ってしまった(この推測が間違っていないとすれば、もしかしたらゲンさんは集団行動や規則に馴染めずにアメフトを止めたのかもしれないと考えられるけど、まさかとは思うが、既に星野先生の中では、ゲンさんがアメフト経験者という設定は「なかった事」になっているのか……!?)。

それと今回、何故か扉ページにキャッチフレーズである「ダイナマイト爆裂連載」の文言が書かれてなかったのだが、これはただレイアウトの関係上の事で心配する事ではないのでしょうか?それとも何か理由があるのでしょうか?

小さい事ですが、普段と違うと見ていて妙に据わりが悪い事もあり(他の回と比べてみたけどタイトルロゴが変に小さ過ぎるんだよ。それにタイトルロゴの左上は空いているんだからキャッチフレーズはここに小さくして入れればいいのに)、ちょっと気になりました(今回の扉絵はバットを大きく振り過ぎて仰け反っているゲンさんが大きく描かれているので、邪魔にならないようにタイトルロゴを小さくして配置し、キャッチフレーズは省いたのかもしれないけど、ここの掲載誌編集部がやっている事を考えると、何か裏があるのではと勘繰ってしまう……)。


さて、次回のゲンさん第325話「父親(おやじ)の背中」は(第320話「受け継がれるもの」が予告時は「光のわらしべ長者」だったように、このサブタイトルも次号の掲載時には変わるかもしれません)、次号予告ページによると、鉄太くんが突然ゲンさんを避けるようになったという内容、そして予告煽りによると鉄太くんが保育園でいじめに遭っているかもしれないという内容らしいので、少し心配です。

そんな心配な内容ですが、その代わり次回は……

!!

(上の文字装飾は、また「紙copi」保存の過去記事からのコピーです)

前回の巻頭が4月3日号掲載の第318話「商店街の改革(四)」だったので、約一か月半振りですか。


それでは、次回のゲンさんをお楽しみに(感想は書けるかどうか分かりませんが)。
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プロフィール

須藤泰昭(すどやん)

Author:須藤泰昭(すどやん)
岐阜県西濃地方在住。
1970年生まれ。
趣味・テレビ番組の録画
    映画の廉価盤DVD収集
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飼い猫の「わく」ちゃんです。
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