2008.10.21.Tue / 19:17 
さあ、レギュラー版通算300話達成まであと少しと迫ったゲンさん(『解体屋(こわしや)ゲン』)感想です。

上の記事タイトルを見て「いきなり何なんだこの記事タイトルは!?」とお思いになった方もいらっしゃると思いますが、それについてはストーリー詳細と感想をお読み下さい。

それでは、今回も始めましょうか。

kowashiya-gen_03photo-b2_R.jpg

『解体屋ゲン』
第297話「心身機能」
(ストーリー)

ある日の五友爆破の事務所。
有華から、住菱建設の内田からの電話を取り継いで貰ったゲンさんは、彼が職人のネットワーク作りをしていると小耳に挟んだ内田から職人達のリストを送ってもらうよう言われるが、まだリストを作成していないと言う。
それを聴いた内田は、せめて職人達のスケジュールや健康状態くらいは把握してくれないと仕事の依頼は出来ないと言って一方的に電話を切ってしまい、ゲンさんは、彼女の言う事も一理ある、皆の健康状態も知らずにいきなり現場に行かせる訳にいかないと考え、職人達の健康調査を始める。

だが、ゲンさんが会いに行った材木商の木村さん(第273・274話に登場)は、最後に医者にかかったのが何時か覚えていないだけでなく、健康診断は定期的に受けているかという彼の問いに、五年前に一度受けたと応えて呆れさせる。
そして慶子さんが会いに行った左官職人の後藤さん(第280・281話に登場)は何処も悪い所はないと言い、健康保険証は持っているかという彼女の問いに、そんな物は国に返した、いざという時はこれを呑めば一発で元気になると言って押し入れからマムシ酒らしき瓶を取り出してちゃぶ台に置き、彼女を驚かせる。
そして光が会いに行った河島先生は、足の水虫を彼女に見せて激しく怒られ、ヒデが会いに行った棟梁の神部さん(前回の登場は第277話)は、彼が訪ねて来たら裏口から慌てて逃げてしまう。

予想はしていたとはいえ、ここまで職人達が医者嫌いだと思わなかったゲンさん達は、調査の結果を前に話し合う。
見るに見かねたロクさんは、自分が職人達を説得すると言うが、ゲンさんは、いずれ現場に入る彼等を自分が引っ張って行かなくてはならないのだから、彼の申し出は有り難いが自分で彼等を説得すると言う。
だがゲンさんは、彼等に健康診断を受けろと頼んでも言う事を聞くだろうかという慶子さんの言葉に、何か良い方法はないかとしばし考え込む。

二日後、ある体育館らしき建物の入口で、どうやら名案が浮かんだらしいゲンさんに呼び出された後藤さんと神部さんが顔を合わせる。
ゲンさんから仕事の説明だとか何とか言われて出向いたという二人は、場内に設けられた受付席に座っている慶子さんから準備体操に使う玩具のハンマーを、有華から名札を受け取る。

そして集まった職人達は、彼等に配られたのと同じハンマーを手にしたヒデと鉄太くんがステージ上で見せる手本の通りに準備体操を始めるが、すっかり体が硬くなった彼等には準備運動すらきついのか、場内のあちこちから悲鳴が上がる。
思った以上に職人達の体にガタが来ている事に気付いたゲンさんは、傍らに控えて彼等の体調を記録しているスポーツドクターから彼等一人ひとりのコンディションについての指摘と、致命的な故障を持っている人はいないようだからリハビリすれば何とかなるという言葉を聴いて安心するが、内臓疾患などは見ただけでは判らないから彼等に健康診断を受けさせるように言われ、解っているがなかなか難しいと返す。

この集まりがどうやら純粋な仕事の話ではないと勘付いたらしい職人達は、ハンマーを放り出すとゲンさんに、これは何のつもりだと詰め寄り、騙して連れて来た事を詫びる彼に、自分の体は自分が良く知っている、医者なんか金儲けの事しか考えていないなどと口々に言い、仕事の話でないのなら帰らせて貰うと出口へ向かう。

ゲンさんは、ここで職人達に帰られたら困るとステージに上がり、彼等に向かって、皆いつかは死ぬ時が来るがやり残した事はないのか、ここに集まっている一流の職人、名人達が一緒に仕事をしたらどうなると思う、いつ死ぬか分からないとしてもそれが今日明日じゃないのなら最後に歴史に名を残すくらい大きな仕事をしたいと思わないかと訴えかける。
そしてゲンさんは、歴史に名を残すなんて事が出来るのかという職人達に、石にかじりついてでも何とかしてみせる、その為に自分はここにいるのだと言い、彼の熱意に溢れた姿を見てどよめく彼等に、今のままでは高所作業や長時間労働のある現場で無理をして事故を起こす可能性がある、大仕事を成し遂げる為には一人ひとりが変わるしかない、だからきちんと健康診断を受けて自分の持病を自覚してくれと続けて訴える。

ゲンさんの言葉を聴いた職人達は、しばらくの間黙り込んでいたが、ようやく彼の熱意に満ちた言葉を受け入れ、口々にこれからは健康診断を受けて体調管理をする事を誓う。
そんなゲンさん達の姿を陰で見守っていたロクさんは、心の中でゲンさんにお前も貫禄が付いて来たじゃないかと言い、心配して会場まで見に来た内田も、彼が上に立つ者としての心構えを持ち始めたのを見届けると、これなら安心して仕事を廻せると言って帰って行く。

そして健康診断が再開されるが、職人達に混じって体力測定に参加したゲンさんは、立位体前屈でマイナス20センチという数値を出してしまい、どれだけ体が硬いのかと光に呆れられる。



(感想)
最初に途中まで読んだ時には、「今回は医者嫌いの職人達の姿をコミカルに描く内容なのかな」と思ったけど、最後まで読んで、「これはもしかしたらゲンさんのストーリー上、大きな通過点になるかもしれない」と思いました。

これまでにもゲンさんにリーダーとしての自覚がなかった訳ではないが、今回のエピソードで初めて、ゲンさんが五友爆破の社員だけでなく職人達の上に立つ者としての自覚を持ち始めたような気がします。

だからこそゲンさんは、医者嫌いで健康保険にも加入していない職人達を説得するというロクさんの申し出を辞退して、自分の責任で彼等を説得しようとしたし、健康診断を拒否して帰ろうとする職人達を「みんなもうすぐ死ぬんだ 誰にも時の流れは止められねえ どんだけ強がり言っても 現実から目をそむけても いつかは死ぬ時がくる」という(職人達の大半である)老人にとっては強烈な言葉を使ってまで引き留め、そんな彼等に「ここに集まってるのはみんな一流の職人だ みんなその道を極めた名人と呼ばれる人ばかりさ もしその名人達が一緒に仕事したらどうなると思う!?」「いつ死ぬかわからないとしてもそれは今日明日じゃねえ だったら最後にでっかい仕事をしてえと思わねえか? 歴史に名前を残すくらいでっかい仕事をさ!!」と訴えかけて、皆の心を一つに纏めたのだと思います。

そのおかげで、あれだけ医者を毛嫌いしていた職人達も心を入れ替えて健康管理をきちんとする事をゲンさんに誓ったし、このエピソードの前半の時点ではゲンさんがリーダーとしての自覚に欠けると思っていた住菱建設の内田女史も、これなら五友爆破に大きな仕事を任せられると確信して帰って行ったのだから、これは大きな進歩じゃないかと思うのです。

今年に入ってから、五友爆破を初めとするゲンさんの周辺が大きく動き始めたけど(その最たる物はゲンさんのライバルだったジョージ富田が、自らが設立したダイナメンション・インクを乗っ取り屋によって追われたのを切っ掛けに、爆破解体に見切りを付けてリフォーム会社を設立した事だろう)、今回のエピソードを起点に、ゲンさんをリーダーとしたエキスパート達が大事業へ挑んで行く姿が見られるかもしれないと思うとワクワクします。

だけどただ一つ、読み終えてしばらくして気が付いたのだが、こうして職人達の心が一つになって歴史に名を残すくらいの大事業への備えが出来た所から、まさかとは思うがゲンさんの物語が大団円に向かって収束しようとしているのではないかという不安が、今の自分の心の中に渦巻いてしまいました。

もしその予感が当たったとしたら、たとえハッピーエンドで終わるとしても、まだまだゲンさんの物語を読み足りない自分にとっては悲劇で、今年に入ってから何度もそんな不安に駆られた事はあったけど、今回の不安も同じように外れてくれる事を祈っています(ゲンさん達に大事業をこなして欲しいという気持ちは変わりませんが)。

そう、まだまだゲンさん達の挑戦は終わらないですよね、石井先生、星野先生!!


……話は変わりますが、今回の記事タイトルにある「マイナス20センチ」の意味、もうお解りいただけましたね?

そう、この数値は上のストーリー詳細に書いた通り、ゲンさんが立位体前屈(正式名称を知らなかったので、お馴染みGoogle検索で「体力測定 方法」のキーワードで調べた)で出した驚異の数字です。

あれだけ立派な体格を持ち毎日現場で鍛えているゲンさんが、こんなにも体が硬いとは思いませんでしたが(そりゃあ光も呆れるでしょう)、体をプルプルと震わせて点になった眼で黙って立っているゲンさんの姿は今回一番の笑い所でした。

それに、前半でゲンさん達が職人達の健康状態を聞き取り調査する場面で、ゲンさんに健康診断は定期的に受けているかと訊かれて「もちろんじゃ たしか五年くらい前に一度受けたぞい」と答える木村さん、慶子さんに健康状態を訊かれて「どっこも悪いとこなんかありゃしねえぜ この通りピンピンしてらあ!」「いざって時はよ…………これを飲めば一発で元気になるぜ!」と言ってマムシ酒(だと思うが自信がないのでストーリー紹介では「らしきもの」と付けた)をドンとちゃぶ台に置く後藤さん、特に持病はないのかと光に訊かれ、「ン~~ッ 特に思い当たるものはないな 菌類の研究で水虫は飼ってるがな ほれ」と言ってテーブルに水虫に罹った足を投げ出して「今度そんなの見せたら先生だからって容赦しないわよ!!」と光に胸倉を掴まれる河島先生、そしてヒデが健康調査に立ち寄ったのに気付いて「オレはどこも悪いとこはねえぞ」と叫んで裏口から逃げて行った神部さん達にも楽しませて貰いました。

あっそうそう、最後になりますが、上のストーリー紹介で挙げられていない他の健康診断参加メンバーの職人は、神部さんと同じロクさんの棟梁仲間である国勝(くにかつ)さん(第84話「楽しいお通夜」で神部さんと共に初登場。前回は第275話に登場。作中に名前が出たのは初登場のみ)、表具店主人の村山さん(第179話「ゲン大爆発」で初登場。前回は感想記事未アップの第286・287話に登場)、鉄工所社長の小林さん(第282・283話に登場)、職人ネットワーク最年少である飾り職人の跡継ぎ・白井実(しらい みのる)さん(村山さん再登場と同じ第286・287話「新旧の職人」に登場)、そして前々回・前回に登場した植木職人のイチさんこと市井さんです(良かったあ、イチさんの出番が前回までの二話限りじゃなくて)。


さて次回は、予告煽りによると、百周年を迎える映画会社から、とんでもなくビッグな依頼が舞い込むという所から話が始まるようだ。

一昨年の通算200話が鉄太くんのお七夜のエピソード(その前の回の第199話で鉄太くんが誕生)、昨年の250話が鉄太くんの一歳の誕生日のエピソードだったけど、次回のビッグな依頼が長期エピソードになるとしたら、今年の300話達成のエピソードは鉄太くん絡みではないのだろうか?それが気になります。

それでは、次回のゲンさん感想をお楽しみに。
COMMENT TO THIS ENTRY
  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY
プロフィール

須藤泰昭(すどやん)

Author:須藤泰昭(すどやん)
岐阜県西濃地方在住。
1970年生まれ。
趣味・テレビ番組の録画
    映画の廉価盤DVD収集
好きな数字・7の倍数

飼い猫の「わく」ちゃんです。
イラスト英単語
カレンダー(月別)
07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ(タブ)
ブログ内検索
CopyRight 2006 虹の終わる場所へ~「SUDOYAN'S SPACE」出張所 All rights reserved.